長財布

おはようございます。
久々のブログです。
昨年の末あたりから、売り切れのものでも材料の在庫があるものについては、「再制作可能です」とか、「受注生産可能です」といった表示をさせていただいてから、ちょこちょこお声をかけていただく機会が増えて、以前より手を動かす日が増えました。
前回の投稿でも書かせていただきましたが、気ままに作って、並べて、気に入っていただけた方にお買い上げいただいてという流れは好きですけど、お客様の期待が先にあって、決まった方に視線を向けて、想いを傾けながらつくるのも、好きになりました。
期待が高すぎるとうう~っってなるかもですが、今のところはちょうどよい感じです^^;;
今年に入ってから、お財布をアップしました。
ナチュラルセットを初めてまもなくの頃、ヨチヨチでつくった長財布があるんですが、ギボシがよかったのか、何カ月に一度くらいか、再制作のご連絡をいただく機会がありました。
そのお財布はこれです。
これは牛革のヌバック(表面を荒らしてツヤをとったもの)加工の革で、さっぱりそっけない感じが面白い革でした。
この革の在庫があったころには何度かお作りしたのですが、お財布用に向きそうな茶系(こげ茶でなく)の革との出会いがしばらくなく、時間が過ぎていたのですが、先日、革やさんで「いいかも」というのが見つかったので、こしらえました。
こちらです。先日のご注文でお作りした財布です。

タンニンなめしの革では国内で一番有名な栃木レザーの革です。
タンニンなめしというと、こちらのトートバッグに使っているような硬い革のイメージが強い方もいらっしゃるかもしれません(あるいは私がそう思っているだけかもしれませんが)が、なめしの最終工程で、家じゅうの衣類を数週間分いっぺんに洗えそうなほどでかいドラム式洗濯機のようなのに入れてグルグル回し、革の繊維をほぐす工程を加えてあげることで、適度に軟らかくすることができます。
素性のよい、いいにおいのなめしで、かつ、くたくた~っとした質感という、こういう目的にはとてもぴったりな革ができあがるのです。。
ナチュラルセットはギボシ好きです。これを貫通させるために、フタの裏のポケットの使い勝手が悪くなってしまいますが、今回はそういう問題ではないので、通します。
(同じようなこだわりで「通した」他の例はこちらです)

脇のマチのところはクシャクシャと柔らかいところの革を使っています。
牛に限らず、動物の革は背中とかおしりが固め、脇のほうになってくると柔らかくなってきて、足の付け根あたりにくると、柔らかいというより、ふわふわに近い部分もあったりするほどのバリーションがあります。
このマチのところは割とその辺に近いところから採っています。(だいたいですけど;;)

革ひもと小粒のカシメ。
真鍮のカシメがペコッとつぶれた感じが気に入っています。

フタの裏のポケット。
革のふちのカタチをそのまま活かしています。
サイトにアップしてある商品だと、ここに穴があいているのですが、どこかしこにあきまくっているわけではないので、こちらの財布を含めて、残りの在庫の革には穴がないです。
上述のとおり、中心部はギボシのために縫い付けてます。が、両脇にはカードが1,2枚くらい入ります。。(ギリギリですが;)

最後におしり
財布の中のファスナーで閉じるコイン入れ部分の下からベロが出ていて、そのベロと本体との縫い合わせるためのステッチです。かるくワンポイントになっていて、気に入っています。

縫製後、かるく洗いをかけて、牛のすねからとった脂をなじませて味を出して仕上げています。
全体的にもクタクタで好きな風合いです。。
革って、元の牛の素性に加えて、なめしの時の微妙な条件とかのせいでしょうか、なかなか同じものがないのです。
このお財布の革ものこり3セット分(多分)なので、また出会いの旅に出かけないといけませんね。
あと、仮にほぼ同じような革が見つかっても、シワのより具合や油のしみこみ具合といった、私が仕上げるときのばらつきは出ちゃいますので、結局のところ、同じものはふたつとないということですね。。
それでは失礼いたします。
毎日寒いですが、お元気でお過ごしください。

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