オイルレザーのロールペンケースの件で肩の荷が降りそう・・

皆さんこんにちは。
ここ数日、寒さが極まってますが、いかがお過ごしでしょうか?

最近は、 大きなバケツショルダーや、ブックカバーなど、これまで扱ってこなかったスプリットレザー製品に取り組んでみたりしています。


皆さん好みは様々だと思いますが、ナチュラルセットのテイストとしては、まるで合皮のように、均質にきれいに出来上がっている革よりは、素の表情がしっかり伝わってくる製法・仕上げの革が好きなので、外部からの影響を受けて表情が変化するタンニンなめしのもので、かつ、ちょこっとしたシワやしみ、濃淡など、素肌の自然さを活かした仕上げが特徴のイタリアのものを選ぶ傾向があります。

スプリットレザーもそんな一環から視界に入ってきた素材です。
以下、ショップサイト上の説明の再掲ですが・・・
スプリットレザーとは、ある程度の厚みのある革を希望の厚みに減らす時には、ちょうどお魚をおろす時のように「2枚おろし」にするのですが、表の革をとって残った裏側の革のことをスプリットレザーと呼ぶんです。スプリット(SPLIT=割る・分ける)されたレザー。というわけです。
表の革のように安定して確保できる素材ではないので、バッグメーカーの量産品用の素材には向かないのですが、つるつるした表の革にはない、マットで素朴な素材感があり、小規模の工房さんや作家さんに注目されている素材です。

革を製品として見た場合、当然、表側に最も気を遣うわけですので、いわば裏側にあたるスプリットレザーについては、いつもいつもいい感じのものがみつかるわけではないので、素材の確保にちょっと苦労が伴いますが、幸い、問屋さんの協力も得られているので、今後もいろんな表現ができるように、いろいろ作ってみようと思います。

と、かなーり前置きが長ーくなってしまいましたが、表題の件。
これも変わり種素材として、前々から継続してご注文いただいているロールペンケースと、keyポーチに使っているオイルドレザー。この追加仕入れ分がやっとこさ、使える状態になりそうなのです。

これらの製品に使っている革は、とある革問屋さんが試作したもので、ある機会にこれを目にして、分けていただくように交渉し、仕入れさせていただいた経緯があるのですが、昨年の秋に在庫が無くなってしまいまして、再度、問屋さんに声を掛けました。

すると、当然、向こうも在庫がないので、作らないと手に入らない状態になったわけです。
これ、ご存じない方も少なくないと思いますが、革という素材は、基本的に、都度都度仕様を伝えてつくって(なめして)もらって調達するものなのです。

当然、個人のクラフトの方が東急ハンズやユザワヤのような量販店で購入することが出来る、予め作り置きしてあるものもあります。が、しかし、売れないリスクを考えて、より多くの方の好みに合うような、あまり変わった表情のものはないですし、また、愛好者の多いタンニンなめしの革は、酸素に触れて表情がかわるので、いわば生鮮品のような側面があるため、品数もあまり豊富ではありません。

対して、バッグや小物の革製品のメーカーの場合、企画する製品ごとに、質感や色を指定して、革問屋さんに「革の試作品」をなめしてもらい、よしこれ!となったら、たくさんの枚数をなめしてもらって調達するという流れになるのです。

話が長くなりましたが、今回のオイルドレザーについても、このメーカーさんのような流れで発注することとなったのです。
で、これまた難しい現実がありまして、今回はロールペンケースに使っていた見本の革の切れ端という、わりとはっきりしたサンプルがあったわけですが、それでも、ぴったり同じものが手に入るとは限らない。のです。

このブログをご覧の皆さんだと、布のバッグなどを手づくりされたことがあるかもしれませんね。
布を買う際、「ロットが違うと色が変わる」といった話を聞いたことがありませんか?
革も同様に染めるものなので、布同様、サンプルと同じ色にならないリスクがあるのですが、さらには、原皮という天然素材の質のばらつき、なめしの工程の作業のばらつきと掛け合わさってくるので、時には「えっ??」ってなってしまうほど、サンプルとはかけ離れた革とご対面してしまうこともあるのです。

今回お願いしたオイルドレザーについても、昨年末の当初ので「ええ~っ!!!」ほどではありませんが、「むむぅ~~。」くらいの違いにはなってしまいました。
色目はそれなりにOKだったのですが、オイルの浸透が今ひとつで、このままでは使えないなという判断でした。
ということで、オイルを入れなおすように、再度工程を通してもらうことで話が付き、約3か月経過した昨日、やっとこ納品されたというわけです。

ほぼ期待通りに仕上がっているのですが、もうちょっとオイル感とくったり感が欲しいと思ったので、手持ちのオイルを塗り込み、よくよく手でもみほぐしました。
予め、革の中にしっかりオイルが入っているからこそ、追加塗りするオイルとの馴染みが促進されるわけで、どんな革でもオイルを塗ればあんな感じになるわけでは決してないのですが、これで数日落ち着かせれば、自信持って出せる状態になるはずです。

高校の時に教わった「暗いと不平を言うよりも、すすんで明かりをつけましょう」という言葉を思い出しました。
革の話に限らず、昔は「お金を払っているんだから。」「そういう契約なんだから。」なんて考えで、取引業者さんにあれこれ注文つけちゃってましたが、ほんとに納得できる状態に近づくには、結局自分で手を動かさないといけないですね。
先生の言葉が今更ながら身に染みる~~。

今朝方オイル塗り塗り&もみもみをした際のショット。

ねっとりダーク。なかなか見かけない質感。

ねっとりダーク。なかなか見かけない質感。

アップ。ガナッシュみたいな風合いですね。

アップ。ガナッシュみたいな風合いですね。

これまでとは違うスタイルのロールペンケースも作ろうと思ってますのでお楽しみに。
それでは失礼いたしますm(_ _)m

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