ヴィンテージトートの新色追加&メイキング紹介

皆さんこんにちは。
お元気でお過ごしでしょうか?

全国的に寒冷前線に見舞われているようで、特に寒い地方では雪の被害も報告されているようです。
くれぐれも用心なさってください。

工房も記憶に無いくらい寒く、電気ヒーターを足元に置いて使っています。
しかし、それだけでは手がかじかんでしまうので、あまり好きじゃないエアコンの暖房もONして凌いでいます。

先日ご紹介した新着の工業用ミシン。
こういうのって、全体が鋳物でできているので、すごく冷たいんですよ。
ちょうど、火にかけていないル・クルーゼのお鍋に触れているような感じでヒヤ~ッとします。(><)
メーカーの方にヒーター付きの要望を伝えてみようかな。と本当に思いました。

さて、表題にもありますとおり、ヴィンテージトートに新色を追加しましたのでお知らせします。
ショップサイトへのアップは年末ぎりぎり位になってしまいますが、表でスナップを撮りましたのでご覧に入れます。

色はネイビー。ハンドルはイタリアンレザーの黒で、カシメはアンティークカラーの鋳物を合わせてみました。
本体サイズとハンドル長は、他カラーと同じく、大小、長短の展開です。

まずショートハンドルの大小。

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ロングハンドルのほう。

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濃色の撮影は色が難しいですね。
明るい紺。というのではなく、くすんだ藍色といった感じでしょうか。
ヴィンテージ加工による細かな濃淡が、藍色の味わいをより深いものにしています。

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内ポケットにはシルクスクリーンでロゴをプリントしました。
すみくろには白でプリントしましたが、今回は薄いグレーにしてみました。

年末にはアップ出来ると思いますので、ショップページの方もご覧になってみてくださいね。
(実は、この生地の調達に結構なドラマがありました。これは次の機会にお伝えします。。)

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さて、表題にもありましたとおり、新色追加を記念して、ヴィンテージトートのメイキングをご紹介いたします。
革製品については、過去に何度もお目にかけましたが、布製品は初めてだと思います。

布にしろ、革にしろ、使用上問題がなければ、作り方にルールは無いと思いますので、ナチュラルセットではこうやってるんだね~。程度にご覧いただければと思います。

まず、生地の切り出しから。
この生地の幅は150センチありますので、垂直にカットして、ロールから切り離し、さらに小さく切っていくことになります。

こういうカットや、広い牛革からベルトを切り出すときなどのために、150センチのステンレスものさしを買いました。
100センチまでだと、そんなに値段しないのですが、これは8000円くらいしたと思います。
でも、作業性は抜群ですし、短いのを移動させるのに比べてスキッときれいに切れるので、手放せません。

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次に、生地を何枚か折り重ね、型紙を載せてカットしていきます。
こんなときも、長ものさしは頼りがいがあります。

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カットが終わりました。
右上から時計回りで、Lの本体、Sの本体、内ポケット、内側の口周り。です。
ポケットの大きさは共通で、口周り布はSに使う場合、さらに短く切って調節します。

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内ポケットにロゴをいれます。
ハンコじゃなくて、シルクスクリーンで刷っています。
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ポケットができました。
途中省いてしまいましたが;;
(1)口を折返して2本ステッチして
(2)中表で両端を縫って
(3)表替えして両端をステッチ
という順番です。

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次に内側の口周りの布を加工します。
6センチ幅に切ったのの両端を1センチずつ折返して、輪っかにします。
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これに、予めポケットを縫いつけておきます。
先日購入したJUKIのミシンで縫っています。
本来、革やソファー布地など極厚の布地に向くミシンなのですが、これくらいハリのある布なら十分いけます。

ある程度ステッチがはっきりしたほうがメリハリが出ると思うので、糸は20番と、家庭用からすると太いものを使いますが、針も太いと生地の糸が切れて(地糸切れ)見苦しくなるので、写真のポケット部で14号、両マチや口周りで16号と、糸に対しては細めのものを使います。
(家庭用ミシンだと、チカラが弱いので、この組み合わせだと綺麗に縫えないと思います)

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ポケットが付いたところです。
どこかの地方の赤ちゃんのお祝い事で使うナントカ。みたいな雰囲気。

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ポケットの準備が出来たところで、本体のマチを縫い合わせましょう。
このミシンは、家庭用ミシンと工業用ミシンの中間に位置する「職業用ミシン」というジャンルのミシンです。
家庭用と大きく違うところは、モーターがグンと強いのと、工業用ミシンと共通の各種補助パーツが使えるところです。

写真でお分かりなるかと思いますが、マチ部を縫い合わせる際に、布のテープで挟み込んで、同時に縫っています。

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アップです。
この金具を「バインダー」といいます。
今回は2センチ幅のテープを二つ折りにしているので、二ツ巻きバインダーというのを使っています。
手前のウネウネは真鍮の針金を曲げて作りました。

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横マチが縫えたら、底マチを縫います。

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次に、本体に赤ちゃんの儀礼用下着を仮止めします。
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このクリップ。お勧めです。
IKEAで売ってるカーテン用の簡易的?な金具です。
歯のガジガジ加減がちょうどよく、しっかり留めてくれるので重宝しています。
(製品としては、奥のようにカーテンレールにぶら下げるためのフックがついてますので、これは先の細いペンチで外しています。)

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話を元に戻します。
口周りをIKEAピンチで留めて位置を確定させて、口周りの布の下のラインを縫います。
このミシンはJUKIの腕ミシンというので、右側から伸びている腕の先のグーのところに下糸の釜が入っています。

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下の段が縫えました。

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全景。
これにハンドルを上から差し込んで留めて、上段を縫う流れになります。

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それではハンドルを作ります。
ゼイタクにイタリアンレザーを使います。
手触りがしっとりで、使い込んでツヤもでるのでいいですよ。

こういう長物をカットするときは、普通のカッターに比べて、材料への抵抗が少ないローラー刃のカッターのほうが向いています。普通のカッターだと、手前に向かってチカラがかかり続けるので、定規の押さえ具合によってはズレてしまうことがありますが、ローラー式だとズレの原因になるチカラがかからないので、ほぼズレません。

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革のエッジの面取りをします。
裏表両方やります。

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面取りをしたら、断面(コバ)に色を差します。
これは「端っこに何かを塗る」ための道具です。
容器の中に染料を入れ、革でローラーを左右に動かしてやると、巻き上がってきた染料が付くという、単純な仕組みです。

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色を差したら、仕上げ材を軽くぬって揉み、棒でサッとしごいて、軽めに艶を出します。
コテコテにツヤを出す雰囲気ではないと思うので、適当にちょちょっとやるだけです。

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ハンドルの端にカシメを通す穴を開けておきます。
数字は目打ちで書いた印です。
一続きの革から連続して切り出した場合、あまり差がでませんが、違う革、違う部位から切り出したものが混在する場合は、伸びやすさや雰囲気が違うので、相性の良さそうなのをペアにしておきます。

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ハンドルが出来たところで布地の方に戻ります。
本体の中央のところにテンプレートをあてて、ハンドルをとめるカシメの位置に印をつけます。
内側の穴がショートハンドル用、外側はロングハンドル用です。

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その後、ブスッ。とやります。
目打ちの太さは3ミリ強ほどあるので、地糸はそれなりに切れますが、ポンチで丸く抜いてしまうより全然マシです。

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ハンドプレスをつかってカシメを留めます。

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アップ。
奥のふたつがハンドプレスにつけるパーツです。通称「打ち駒」
奥が下側で手前を上側につけます。

手前に転がっているのが、カシメです。
奥側がバッグの外側にくる半球状のカシメ、手前がバッグ内側にくるやつです。

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こんな感じでギュ~~ッと。。

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いよいよ最終。
口周りを縫う準備です。
下段を一周縫ってはありますが、縫っているうちにズレが生じて、シワがよってはいけませんので、要所を留めておきます。
特にハンドル付近は、乗り越えるときに手前側にむかって力がかかり、(カシメの位置はズレないものの)ハンドルと布の位置がずれやすいので、直後のところをガジッと留めておきます。

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再度、腕ミシンで縫っておしまいです!

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で、冒頭御覧頂いたように、こんな感じに出来あがりました。というわけです。
4枚再掲させていただきます。

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それでは失礼致します。

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